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ここ数年メジャーリーグでは、捕手の守備力を評価するにあたり『フレーミング』という新機軸が登場しています。
『フレーミング』とはストライクかボールか際どいボールを球審にストライクとコールさせる技術の事です。
1試合でストライクかボールか際どい球は何球もあります。
フレーミングを少し違った言い方をするならば「キャッチャーの狙い通りの球が来たように見せる技術」と言った感じです。
これができる捕手とできない捕手では試合の結果も大きく変わってきます。
また、試合のポイントとなる場面でストライクかボールの判定が大きく流れを左右する場面もあります。
ここではフレーミング技術やフレーミング能力を数値化する方法を紹介したいと思います。
捕手のフレーミング技術について
フレーミングという技術が広まってきました。
キャッチャーといえば、ボールを捕った瞬間にミットが動かないというキャッチングだけが重視されていましたが、フレーミングはキャッチング技術の中でもボール球をストライクにするとして重視されるようになりました。
審判をごまかす事が良い事なのかという意見もありますが、審判をごまかす事も野球においては立派な技術という意見もあります。
フレーミングについては賛否意見がありますが、フレーミングとはどういう技術なのか紹介したいと思います。
何球ストライクを増やしたのか
ボール球をストライクとコースさせるフレーミング技術はメジャーリーグだけではなく、どこの国の野球においてもキャッチャーのキャッチングが少なからず影響してきます。
最近のメジャーリーグではそのフレーミング技術が数値化されてきています。
どのキャッチャーがどのくらいストライクというコールを引き出しているかを数値で表す事がテクノロジーの進化によって可能になりました。
フレーミング技術が高い捕手と低い捕手ではシーズンを通すと、チームの総失点の差が30~40点程にも及ぶことが分かりました。
日本のプロ野球でもフレーミング技術は重要とされていますが、数値化し評価したことはありませんでした。
フレーミング技術を数値化する
フレーミング技術を調べるには、トラッキングデータを使用して数値化します。
つまり機械的に見てボールの球がストライクコールになっていればプラス評価になり、機械的に見てストライクの球がボールと判定されればマイナス評価となります。
もちろん全ての判定が捕手のキャッチングによるものではありませんが、大量のサンプルを用いる事で、そのような問題はある程度解消されているものと考えます。
メジャーリーグで一般開放はしていませんが、多くの球団がトラッキングデータを導入しています。
このトラッキングデータを使用する事により、フレーミングの技術が高いのか低いのか判断する事ができます。
フレーミング数値化方法について
ストライクとボールの境目付近に投げらた投球を抽出します。
上記図の赤枠の部分になり、バッターが見逃した時のみです。
こと時注意しなけならばらない事は、空振りやファールなど打球が飛んだ時は除外する事です。
あくまでもキャッチャーミットに収まった投球のみをカウントしていきます。
① 真ん中以外の8つのゾーンに区分し各ゾーンの投球がストライクと判定された割合を求めます。
② 捕手のゾーンごとの投球数を求め、これに各ゾーンのストライクと判定された割合①を掛けます。
③ 捕手の全ゾーン②を合計します。
④ 最後に捕手の全ゾーン③の合計ストライク判定数を割ります。
この方法によって捕手が際どい球をどれだけ多くストライクとコールさせられたかどうかを推定することが可能になります。
平均的なキャッチャーが100%とした場合、100%以上の数値であればストライクと多くコールをさせたことになります。
プロ野球のレギュラー捕手であれば1シーズンで約800球のサンプルを取る事ができます。
また、抽出するのはストライクともボールとも取れる球になります。
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実際のフレーミング技術を紹介
プロ野球選手の数値
阪神梅野隆太郎、2017年8月時点でフレーミング能力NO1https://t.co/TMhN3UicgX #フレーミング #梅野隆太郎 #阪神 pic.twitter.com/FChpR8sA8Y
— なんJプロ野球 (@nenJpro) 2017年8月19日
2017年のプロ野球開幕から8月時点でのフレーミング数値です。
350イニング以上の捕手が対象となっているデータになります。
この数値を見ると阪神の梅野隆太郎捕手が109.3%と最も高い数値を残していることが分かります。
ちなみに2016年のデータではDeNAの戸柱恭孝捕手が106.5%で最も高い数値を残しています。
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捕手フレーミングの動画
プロの捕手のフレーミング動画です。
日本のプロ野球からは古田敦也選手のフレーミングを、メジャーリーグからはモリーナ選手の動画を添付致しました。
動画をご覧頂くと際どいコースをストライクと審判にコースさせる技術が分かると思います。
元ヤクルトの古田敦也捕手のフレーミング集
メジャーリーグ モリーナ捕手のフレーミング集
この動画を見ると、たしかに際どいボールをキャッチャーのフレーミング力でストライクにしている感じがします。
際どいコースがストライクになるかボールになるかで、バッターとの勝負は大きく変わりますし、試合の勝敗を左右する事も考えられます。
となると、フレーミング力はかなり重要な技術になるのではと思います。
捕手のフレーミング技術まとめ
きわどいコースを目視で抽出し数値化する方法なので、どこまで正確なデータなのかと思う部分があります。
しかし、ここ数年メジャーリーグでのトラッキングシステム導入の流れを見ると、フレーミング能力の解明は進化していくと思います。
トラッキングシステムが進み、これまであまり目立たなかった選手が注目を集めるようになる可能性もあります。
フレーミング技術を計るには、際どいボールのデータを大量に取り数値化していく必要があります。
数値化するのは大変ですが、今後もっと数値化しやすくなるシステムが登場する可能性もあるのではと思います。
一方将来的にストライク・ボールの判定を人ではなく機械が行うようになったら、フレーミングという技術はなんの役にも立たなくなってしまいます。
人ではなく機械を導入するように訴える選手もいるとの事です。
将来的にどうなるか分かりませんが、フレーミング技術は機械化されてしまったらなんの能力でも技術でもなくなってしまう危険性があります。
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