メジャーリーグでは申告敬遠という制度が導入されています。
投手が打者を敬遠するときに、監督が審判に申告すれば4球投げる事なくフォアボールとなり、打者は自動的に1塁に進めるという制度です。
日本では導入されていないルールですが、メジャーリーグで導入されたという事もあり、今後導入される可能性があるかも知れません。
申告敬遠は野球の面白さを少なくしてしまうと思う人が多いと思いますが、そこには日本とアメリカとの考え方の差がありました。
敬遠について
敬遠した方が良い場面
1点を争うような試合の時など、敬遠をした方が良い場面は生まれやすいです。
例えばランナー2、3塁で1塁が開いている時など。
満塁にした方が内野ゴロの時一番近くの累上でアウトにできるので、守りやすくなります。
また、満塁であればダブルプレーも取りやすくなります。
もちろんホームランを打たれてしまったら一気に4点取られてしまうリスクもありますが、それも考慮した上で行う守備側の作戦でもあるのです。
敬遠にもドラマが生まれる
日本のプロ野球には敬遠の球を打ったり、暴投を投げてしまったりとドラマが生まれている事があります。
阪神タイガースで敬遠球を打ちサヨナラヒットを放った新庄剛志選手の事は、今でも語り草になっている程です。
新庄剛志選手の敬遠球サヨナラ打動画
敬遠球暴投でワイルドピッチになる動画
敬遠中に生まれる『間』と『空気感』
野球は他のスポーツと違い色々なタイミングで『間』が存在します。
その『間』はイニングごと、打者ごと、投球ごとに存在します。
その間には心理戦を含めた駆け引きが存在しています。
野球を見ている側からすると、敬遠中でも打つんじゃないか、暴投するのではないか、もしかしたら勝負するかも知れない、など期待感を持ちながら観戦します。
そういった空気感があるのが野球の楽しさでもあると思います。
申告敬遠について
イチロー選手が初めて申告敬遠に!
2017年9月18日のニューヨーク・メッツ戦で3回裏、ツーアウト2塁の場面でイチローの打席となりました。
メッツのテリー・コリンズ監督が球審に申告敬遠の合図を送りました。
投手は投げる事なくイチロー選手はフォアボールとなり1塁へと進みました。
イチロー選手は申告敬遠に
「敬遠球を打つとか暴投が?それだけじゃない。4球の間の空気感があるでしょ、面白くないですよね。」
と、申告敬遠に対してコメントしています。
ファンからしてみても、たとえ敬遠であったもその打席を見たい人は多いのではないでしょうか。
イチロー初めての申告敬遠の動画
申告敬遠導入の理由について
申告敬遠を導入した理由は試合時間の短縮です。
敬遠を短縮する事でおよそ1分程の時間が短縮できるとの事です。
敬遠が発生する頻度は2.6試合に1回程です。
あまり発生する事ではありませんが、そうなるとほとんど時間短縮もされていないような気もします。
また、メジャーリーグでは現在攻守交代のイニング間の時間は2分25秒と決まっています。
この時間はテレビのコマーシャルタイムに合わせるためです。
試合が全米中継となる時は、全国ネットのコマーシャルタイムは少し長くなるので、イニング間は2分45秒と決まっています。
その時間に遅れないように選手は素早く攻守交代をしなくてはいけません。
現在メジャーリーグではそれほど試合時間を意識しているのです。
フォアボールに対するメジャーリーグの考え
日本では申告敬遠に対する意見は反対派が多いですが、アメリカではそうではなく「敬遠のフォアボオールは時間の無駄」という考えが多数派です。
ピッチャーの中には「4球投げるのは勿体ない、だったら初球をデッドボールすればそれで済む。」と発言するほど、4球も投げるのは無駄という考え方なのです。
申告敬遠のまとめ
日本においては敬遠中でも何か起こるかも知れないと期待感を持ったりしますが、メジャーリーグは敬遠に対する考え方はドライです。
4球投げるなら初球をデッドボールにした方が良いと言うピッチャーがいる程です。
敬遠にもドラマがあったりするので、そんなシーンを見れるなんてファンとしては喜ばしい事です。
メジャーにはメジャーの考え方があって行っている訳ですが、日本には日本なりの考えがあると思います。
メジャーリーグが導入したからと日本のプロ野球も導入するのではなく、ファンの意見を考慮して欲しいと思います。
申告敬遠制度が導入されてしまうだけで、野球の楽しさがかなり減ってしまう気がします。