野球でホームランを打つことはファンを魅了するひと際輝く瞬間です。
ホームラン王を獲得する程のバッターはただホームランを打つだけではなく、理想とする弾道や、ホームランを打つコツがあったりします。
一般的にホームランの綺麗な放物線の角度は25度と言われています。
45度だと内野フライになる感覚です。
ボールとバットはそれぞれ「球」になっているので、ボールとバットが当たる時は「点と点」が当たります。
バットの中心にあたると打球はライナーになりますが、理想のホームランはバットの中心より7mm上でボールを捉える事と言われています。
ここでは歴代本塁打王の美学やこだわりについて紹介したいと思います。
中村剛也選手のコツ
2008年本塁打46本、2009年本塁打48本と2年連続ホームラン王を獲得しました。
中村選手の理想とするのは滞空時間が長いホームランです。
滞空時間が長い打球の方が「気分が良いから」との事です。
中村選手がこだわっているポイントは
- フライを打つ
- 滑るシューズは履く
という事です。
それでは詳しく見てきましょう。
フライを打つ
練習ではとくかく遠くに飛ばす事を考えて、ゴロを打たないように心が得ています。
ボールの下を打ち、どんな球でもフライを打つようにしています。
フリーバッティングだけではなく、ティーバッティングでもボールの下を叩くことを意識しています。
しかし、試合では特に意識することはせず、力を抜くことを意識しています。
遠くに飛ばすために力任せにスイングするようだと相手投手の思うつぼなのです。
滑るシューズを履く
ロングティーなどではあえてスパイクを履かずにアップシューズでバッティングするという事です。
アップシューズで打撃をすると滑るので、しっかりと下半身を使わないと力強く打つことが出来ません。
下半身の粘りを付ける事で、タイミングを崩されても自分のスイングが出来るようになるという事です。
アップシューズで不安定な状態で練習する事で、下半身に磨きをかけているのです。
村田修一選手のコツ
2007年、2008年セリーグのホームラン王になりました。
ホームランの理想とする弾道はファンの方がキャッチしやすい高い弾道という事です。
高い放物線の方が美しく、弾丸ライナーだとホームランと分かりにくいので、打った瞬間は全力疾走しなくてはなりません。
そういう理由もあり高く弧を描いたホームランが理想という事です。
村田選手がこだわっているポイントは
- 両手でとらえる
- 手を走らせる
- ポップフライ
という事です。
それでは詳しく見ていきましょう。
両手でとらえる
当たり前の様に感じる事ですが、打った瞬間片手を離してしまう事はあります。
レフト、センター、ライトとどの方向でも関係なく最後まで両手で振りぬくことを意識しています。
ボールを遠くに飛ばすには後ろの手でボールを捕まえてしっかりと押し込むイメージです。
この事を意識する事により、ボールを最大限の力で打つことが出来ると言う事です。
右バッターがレスト方向に打つ時は「引っ張る」と言いますが、ライト方向に打つ時も「右方向に引っ張る」という感じで両手で振りぬいています。
右方向に引っ張るようにするためには、打つ時に自分の懐までボールをしっかりと引き付けないといけません。
手を走らせる
レスト方向やセンター方向に打つ時は体重移動をしっかりとしていますが、ライト方向に打つ時は重心を後ろに残しています。
軸足に重心を残したままスイングする事で、手が先に動き「手を走らせる」という感じになります。
重心を後ろに残す反動で手が前に押し出されスイングスピードがアップするという事なのです。
村田選手だけではなく、松井秀喜選手もこの打ち方をしています。
ホームランバッターには必須な打ち方なのかも知れません。
ポップフライ
ティーバッティングではボールの下を叩きスピンをかける打ち方をしています。
ボールの下を叩きスピンをかける事で、ポップフライになります。
ボールの下を打つことで打球を上げる感覚を身に付ける事が出来ます。
落合博満選手もこの練習を行っていました。
秋山幸二選手のコツ
抜群の身体能力を誇り、1987年パリーグのホームラン王となった秋山選手はセー黄金時代のクリーンアップを打った強打者です。
当時はメジャーに一番近い選手とも言われ、バッティングだけではなく攻走守3拍子揃った選手です。
また、ホームランを打った後、ホームベースでバク転をするのも秋山選手の特徴です。
秋山選手がこだわっているポイントは
- 己を知る
- サンドバック
という事です。
それでは詳しく見ていきましょう。
己を知る
もっとも力を伝える事ができる自分のミートポイントを知るという事です。
詰まったり差し込まれたら弱い打球しか打つ事が出来ません。
どのポイントで打つことが一番力が伝わるのか知る事が重要になります。
秋山選手の場合ミートポイントは手首が返る瞬間です。
サンドバック
サンドバックやタイヤなどを叩き、どのポイントが一番力が伝わるのか見つけバッティングで応用するという事です。
古田敦也選手もサウンドバックを叩き、ミートポイントで力を伝える練習方法をオススメしていました。
バッティングで力を使えることは基本中の基本です。
自分が最も力を発揮できる体勢を最初に考えなくてはいけません。
一番力を伝えられる体勢を知らずしていくら打っても意味がないという事です。
秋山選手はこうしてホームランを量産したのです。
松中信彦選手のコツ
2004年、2005年パリーグのホームラン王に輝きました。
卓越したバッティング技術で3冠王も獲得しています。
松中選手がこだわっているポイントは
- 芯に当てない
- スライス回転
- 種田 仁
という事です。
それでは詳しく見ていきましょう。
芯に当てない
芯に当ててしまうとボールはすぐに飛んで行ってしまうため、押し込めなくなるという事です。
なので、芯から少し外しきっちりと押し込む事により、押し込んだ分だけボールが飛んで行きます。
この「押し込む」感覚が飛距離に大きな影響を与えています。
スライス回転
手首を返してしまうと、ボール切れてしまうので引っ張った打球はファールになってしまいます。
バットにボールを乗せスライス回転を掛ける事で、引っ張った打球もライン際でファールにならず飛んで行くと言う事です。
種田 仁
ボールを遠くに飛ばそうとするとどうしてもステップ幅が広くなり、その結果腰の回転が悪くなります。
そうならないように参考にしたフォームがガニ股打法で知られる種田選手です。
ステップする足をピッチャー方向に向けて構える事により、ステップ幅が広くならなくなるという事です。
A・ラミレス選手のコツ
2003年セリーグのホームラン王になったラミレス選手は、ジャイアンツの第74代4番打者でした。
コンスタントに成績を残し9年間で放ったホームランは287本です。
力任せに打っている様ですが、ラミレス選手にもホームランを打つコツがありました。
ラミレス選手がこだわっているポイントは
- センターからライト
- 70:30
という事です。
それでは詳しく見ていきましょう。
センターからライト
ボールを遠くに飛ばすために、ボールの下側を打つようにしています。
そしてボールの内側を打つことを意識し、センターからライトに打つようにしています。
内側を打てばボールに回転がかかり、ホームランが打ちやすくなるという事です。
70:30
70対30というのは体のバランスを表します。
ラミレス選手の場合は、後ろに残す重心が70%、前への重心が30%。
このバランスがベストで、ステップが一番しやすいと言う事です。
良いステップが出来れば、良いスイングができ、力強い打球を打つことが出来ます。
ホームランを打つコツまとめ
同じホームランを打つという事でも、選手によってこれだけの違いがある事が分かりました。
一般的にはホームランを打つポイントは、ボールを捉える時にバットの中心より7m上でボールを打つ事と言われています。
この感覚は練習で養う事ができますが、天性の才能もあると思います。
ここで紹介させて頂いた歴代ホームランバッターは
- 中村剛也選手
- 村田修一選手
- 秋山幸二選手
- 松中信彦選手
- A・ラミレス選手
になります。
同じホームランバッターと言えど、打つポイントやコツはどの選手も違います。
それだけ多くのポイントやコツがあるので、自分に合ったものがあるのではと思います。
多くの人は小さい頃から野球を始めていますが、小さい頃からホームランを打つための練習はほとんどしていません。
ホームランバッターを目指すのであればティーバッティングでポップフライを打つ練習を取り入れるなどして、打球を上げる感覚を身に付ける必要があります。